憲法(1)

憲法

①自由の基礎法 ②制限規範性 ③最高法規

法律とは違う!

憲法は、国家権力を制限して、国民の自由・権利を守る為の基礎法

 

法律は、国民の権利・自由を制約。

 

基本原理→①国民主権 ②基本的人権の尊重 ③平和主義

 

① 国民が国政の最終決定する力を持っているということ

② 人が生まれながらに持つ基本的な権利(自由権参政権社会権・受益権)

③ 戦争と戦力の放棄(第9条)

 

 

「人権について」

人権には、固有性・不可侵性・普遍性がある。

(人権は、誰にも平等にあり、誰からも侵されない)

 

自由権(精神的自由・経済的自由・人身の自由)

参政権(選挙権・被選挙権・国民投票最高裁判所裁判官の国民審査など)

社会権社会福祉を求める権利、生存権など)

④受益権(裁判を受ける権利・請願権・国家賠償請求権・刑事補償請求権など)

 

憲法上、人権の主体は「国民」に限定されている→日本国籍を有する自然人

 

「法人」や「外国人」の人権は?

→法人も、性質上可能な限り、人権が保障される

→外国人も、権利の性質上、日本国民のみを対象としていると解されるものを除き、人権を当然に保障される

 

外国人の人権について

①入国の自由・再入国の自由は保障されないが、出国の自由は保障される

②日本国の政治的決定や実施に影響を及ぼさなければ政治活動の自由も保障される

参政権は基本的に保障されない(しかし、地方行政の長や議員への選挙権を法律で認めることは合憲)

 

そんな基本的人権も無制限というわけではない、、、他者の人権との兼ね合い、つまり「公共の福祉」により制限される

 

また、公務員は憲法で「全体の奉仕者」とされていることより、公務員としての人権の制約がある

 

①公務員の政治活動の自由

→職員は人事院規則で定める政治的行為をしてはならない

→ただし、公務員としての体をなさず、政治的中立性を害するものでなければ、許容される例もある

 

②公務員の労働基本権

団結権・団体交渉権・争議権 を制限→ 警察職員・消防職員・自衛隊員・海上保安庁・刑事収容施設職員

 

団体交渉権・争議権 を制限→ 非現業の一般公務員

争議権 を制限→ 現業の一般公務員

 

また、「被収容者」の人権も制限される

→刑事収容施設の規律及び秩序の維持において、制限が許容される例がある

 

 

憲法は国民の権利・自由を守る為に、国家権力を制限するものでありますが、

昨今、国民の権利・自由を脅かす力が私人の中にも登場している

例としては、マスメディアや巨大資本など。

 

これらを制限するのは、私的自治の法則に反するので、

社会的権力から守るには、私法の一般条項(民法90条、709条など)を適用する際に、憲法の精神をその解釈に読み込むのが「間接適用説」。

 

憲法の人権規定は私人間には、直接適用されない→民法1条、90条や不法行為に関する諸規定を運用して保護していく

 

13条 幸福追求権→14条以下に含まれない権利・自由についても、13条後段によって人権として保障される

 

「新しい権利」

プライバシー権→個人情報を暴露されない「放っておいてもらう権利」としてだけでなく、「自己に関する情報をコントロールする権利」として再構成。

 

・自己決定権

宗教上の信念に基づき輸血拒否の意思決定は人格権として認められる

 

・肖像権

みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由

 

・名誉権

 

 

14条 法の下の平等

 

「相対的平等」・・・人の事実上の差異に着目した合理的な差別は許される

→税の徴収において、累進課税

 

14条においては形式的平等を目指しており、実質的平等は福祉国家の理念に基づき

社会権の保証等によって立法府主導で目指す

 

「平等について」

人種・信条・性別・社会的身分・門地によらず平等

 

遺産相続において、摘出子も非摘出子も平等。

→以前は、非摘出子の相続分は摘出子の1/2だった。

 

女子再婚禁止期間も、100日までは合憲。(父性の推定の重複を避ける為)

→以前は、6か月だったが、100日超過分は違憲

 

一票の格差

議員定数不均衡

以前は、「一人別枠方式」などを取って選挙区を振っていたが、違憲判断となり、是正。

 

まず①裁判所による判断で「違憲・合憲」→②違憲でも、合理的期間内に是正されればOK→③是正されなかったとしても、選挙を無効とすることによる弊害の大きさを考慮して、

事情判決の法理」により、違法を宣言するにとどめて、選挙は無効にならないというのが現状。

 

 

19条 思想・良心の自由

 

内心に留まる限り、他人の人権と衝突する恐れがないので、絶対的な自由として保障

また、内心の露顕を国家権力が強制することも出来ない

 

君が代起立斉唱の職務命令:卒業式において君が代起立斉唱を命ずる校長の職務命令は、単なる儀礼的な所作であり、特定の思想を強制するものではないので、合憲。

 

 

20条 信教の自由

 

1項は、「信教の自由」であり、宗教を信じるも、信じないも、どの宗教を選ぶかも自由である。また、国が特定の宗教をその権力によって保護・援助してはいけない。

 

2項は、宗教的行為を強制されない。3項は、「政教分離」について

 

信教の自由も無制限ではなく、公共の福祉を鑑みて限界はある

オウム真理教の件など、他人の人権を著しく害する場合など

 

 

政教分離

20条1項後段、20条3項、89条前段などにおいて国家権力の宗教に対する中立性が書かれている

 

 

23条 学問の自由

 

学問研究の自由・研究結果発表の自由・教授の自由

 

制度的保障と考えられる「大学の自治」については、

主体は教授その他研究者であり、学生はそれらの自由と自治の効果として学問の自由と施設の利用が認められているに過ぎない。

 

 

21条 表現の自由

「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」

 

内心における精神作用を外部に公表する精神活動の自由

 

自己実現の価値と自己統治の価値(民主的な政治を実現する社会的意義)

 

「知る権利」

国民が自由に情報を受け取り、また国家に対して情報の公開を請求する権利

憲法に明文されていないが、21条1項で保護されていると考えられる

知る権利も表現の自由の一環

 

抽象的権利なので、21条1項を根拠として、情報公開を国家に対して請求することは出来ず、具体的な立法が必要

→2001年4月より「情報公開法」施行:行政機関に対する情報公開請求権を具体的に定めた

 

反論権(アクセス権)

知る権利の一部。マスメディアの台頭によって、マスメディアにおける反対意見の記事の掲載を請求する権利が求められるが、これは21条を根拠とするが、これだけで反論権は認められない。

→かえってマスメディアの報道が委縮して、本来の国民の知る権利が損なわれる

 

 

1. 集会、結社の自由

集会、結社は表現の自由の一類型。これを行うに公権力は妨害してはならない

→公共の福祉に害する場合の限界:警察の警備などによってもなお混乱を防止することが出来ないなどの特別の事情がある場合

 

デモ行進も動く集会。21条で保障。

→同じく公共の福祉を鑑みての限界はあり

→デモに関して、許可制を定めて事前に抑制するのは、合憲。(公共の安全に危険を及ぼす可能性があるから。また、不許可の場合は厳格に定められていれば、事実上の届出制といえる)

 

 

結社の自由→団体を結成する、加入する、結成しない、加入しないという自由。

行政書士会、弁護士会など、専門技術を要し公共的性格を有する職業の団体については、強制加入が認められている