憲法(4)

『国会』

国民から国政を託された代表者が国家権力を行使する「代表民主制」。

 

・国民の代表機関(43条1項)

政治的代表であり、自由委任。

→代表者は、自己の信念のみに基づいて発言・表決すればよい。

 

・国権の最高機関(41条)

 

・唯一の立法機関(41条)

国会中心立法の原則:国の行う立法は、特別の定めがある場合を除き、国会が行う。

→例外:①議員規則 ②裁判所規則

 

国会単独立法の原則:国会の議決のみで立法出来る。

→例外:地方自治特別法(特定の地方公共団体のみに適用される法律)を制定するには、特定の地方公共団体住民投票による過半数の賛成が必要。

 

 

『国会の組織』

衆議院参議院:二院制なのは、①参議院のチェック機能 ②異なる時期による選挙によって、その時々の民意の反映

 

衆議院

任期:4年(解散あり)

定数:465人

議員資格:満25歳以上

選挙区:小選挙区比例代表区

 

参議院

任期:6年(解散なし・3年ごとに半数改選)

定数:248人

議員資格:満30歳以上

選挙区:大選挙区比例代表区

 

衆議院の優越

議員の権能の範囲、議決の価値に関して、衆議院の優越が認められる場合がある。

①解散制度、任期も短いことから、より民意を反映している ②1院を重視することで、国会の意思形成が容易になる

 

衆議院にのみ認められる権限」

内閣不信任決議権(69条)・予算先議権(60条1項)

 

参議院にも認められるが衆議院の議決が優先」

・法律案の議決(59条)

衆議院の先議権:なし

参議院が議決しない日数の要件:60日

議決しない場合の効果:参議院の議決を否決とみなすことが出来る

再議決:出席議員の2/3以上の多数決

両院協議会:任意(開くことも出来る)

 

・予算案(60条2項)

衆議院の先議権:あり

参議院が議決しない日数の要件:30日

議決しない場合の効果:衆議院の議決を国会の議決とする

再議決:不要

両院協議会:必要的(参議院が否決後に両院協議会を開いても一致せず or 参議で30日経過)

 

・条約の承認(61条・60条2項)

衆議院の先議権:なし

参議院が議決しない日数の要件:30日

議決しない場合の効果:衆議院の議決を国会の議決とする

再議決:不要

両院協議会:必要的(参議院が否決後に両院協議会を開いても一致せず or 参議で30日経過)

 

内閣総理大臣の指名(67条2項)

衆議院の先議権:なし

参議院が議決しない日数の要件:10日

議決しない場合の効果:衆議院の議決を国会の議決とする

再議決:不要

両院協議会:必要的(参議院が否決後に両院協議会を開いても一致せず or 参議で10日経過)

 

 

『国会の活動』

・常会(52条):毎年一回定期に開催される。会期は150日(国会法10条)。

・臨時会(53条):常会が閉会後も、必要があれば内閣が臨時会を招集できる。

また、いずれかの議院の総議員の1/4以上の要求があれば、内閣は臨時会を招集しなければいけない。

・特別会(54条1項):衆議院の解散後に施行される総選挙の後に召集される国会。

衆議院の解散した日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければならない。

 

・緊急集会(54条2項、3項):衆議院解散後から特別会までの間に、国会の開会を要する緊急の事態が生じた時は、参議院の緊急集会を内閣は開くことが出来る。

→特別国会開会後10日以内に、衆議院の同意を得なければ、その効力を失う。

 

「会議の原則」

→定足数は総議員の1/3(56条1項)

→表決数は、基本は出席議員の過半数(56条2項)

例外(2/3以上):①資格訴訟裁判で議員の議席を失わせる(55条)

②秘密会を開く(57条1項但書)

③懲罰により議員を除名(58条2項)

衆議院での法案の再可決(59条2項)

憲法改正の発議(96条1項)

 

原則として、両議院の会議は公開。(57条1項)

ただし、出席議員の2/3以上の多数決により、秘密会を開くことが出来る。

 

『国会議員の特権』

不逮捕特権(50条)

→国会議員は会期中に行政権による逮捕権の濫用を防ぐ為、不逮捕特権が認められる。

例外:

①院外での現行犯

②院の許諾がある場合

また、会期前に逮捕されている議員については、議院が釈放を要求できる。

 

・免責特権(51条)

議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない。

「議院で行った」とは、「本会議や委員会」などで「議員」として行った言論が免責特権の範囲。

プライベートな場所などでの言論は範囲外。

また、法的責任には問われないが、院内の懲罰責任は免責されず、議院の自律権から責任を問われる可能性はある。

 

・歳費受領権

国会議員としての報酬を受け取れる権利。ただし、減額出来ない旨の定めはない。

(※裁判官は在任中は減額出来ない)

 

 

『国会の権能・議院の権能』

国会としての権能なのか、議院としての権能なのか区別。

 

「国会の権能」

①法律の議決

②予算の議決

③条約の承認

内閣総理大臣の指名

憲法改正の発議

弾劾裁判所の設置(64条1項)

⑦財政の統制

⑧内閣の報告を受ける

⑨皇室財産の授受の議決

 

「議院の権能」

①役員選任権(58条1項)

②議院規則制定権・議員懲罰権

③議員の資格訴訟の裁判権(55条)※資格とは、法律的にという意味

④会期前逮捕議員の釈放要求

国政調査権(62条)※証人の出頭および証言、記録の提出を要求できる

⑥秘密会

国務大臣の出席要求

⑧請願の受理・議決